つむじ風 [創作]

この公園を抜けると近道だったハズだよな

俺は大通りを外れて子どものはしゃぐ声を聞きながら公園に足を踏み入れた

舗装されていない地面の感触が心地よいな

「うわ~」「きゃー」

突如巻き起こったつむじ風に子どもの甲高い声が響く

その次の瞬間、つむじ風は俺を巻き込むように過ぎていった

やべぇ…、目にゴミが入った

しかも、両目かよ!

涙で視界が滲んでよく見えない

なんとか目を洗いたい

目を抑えながらおぼつかない足取りで歩いていると

不意に片方の腕を誰かに抱えられた

「こっちにベンチがあるわ」

この声は…まさか…

誘導されるままベンチと思われる場所に座らされた

「これ、丁度買ったばかりの水だから」

片手にペットボトルを持たされ、もう片方の手をキャップへ持っていかれる

「キミなのか?」

答えはない

ともかく目を洗って顔を見たい!

「私、あのバスにどうしても乗らなきゃいけないの

後は自分でなんとかしてね」

「ちょっと待ってくれ、キミなんだな?そうだろう?」

俺の問いかけには応えず

走り去る足音が響いて、俺はベンチに取り残された

ともかくペットボトルの水で目を洗うとやっと視界を取り戻せた

大通りに目をやってみたがもうバスは見あたらない

幻だったのか?

俺は残されたペットボトルを握りしめて真上にある太陽を見上げた


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